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令和3年度の国の年金資産の運用結果は10兆0,925億円の運用収益になったと公表されました

令和3年度の国の年金資産の運用結果が公表されました

令和4年7月1日に厚生労働省より年金積立金運用独立法人による国の令和3年度年金資産の運用結果が公表されました。
それによりますと令和3年度1年間(令和3年4月~令和4年3月)の国の年金資産の運用状況は収益率で+5.42%(令和2年度+25.15%)となり、収益額では+10兆0,925億円(令和2年度+37兆7,986億円)となりました。
その結果、令和3年度末現在の年金資産額総額は196兆5,926億円(令和2年度末186兆1,624億円)となりました。
なお、令和3年度の年金資産は10兆0,925億円の運用収益となりましたが、この収益は売買による実際の収益ではなく、年度末に保有している年金資産を評価した場合の収益となります。

ちなみに2001年度から2021年度までの21年間の通期による資産運用結果は収益率で+3.71%、累積収益額では+105兆4,288億円となっております。
以上のように、年金資産の運用は長期間の運用スタンスで見てもプラスになっています。
また、令和3年度末の運用している資産の構成割合は次のようになっています

国内債券   国内株式   外国債券   外国株式   短期資産   合  計
令和元年度末 23.87%   22.87%   23.42%   23.90%   5.95%   100.00%
令和2年度末 25.92%   24.58%   24.61%   24.89%   0.00%   100.00%
令和3年度末 26.33%   24.49%   24.07%   25.11%   0.00%   100.00%

年金資産運用の詳細についてご覧になりたい場合は下記をクリックしてご覧ください
2021年度業務概況書

令和4年10月から育休免除の見直し等が行われます

育児休業等期間中の社会保険料の免除とは、被保険者から育児休業または育児休業に準ずる休業を取得することの申し出があった場合に事業主からの届出により、育児休業の開始日の属する月から終了日の翌日が属する月の前月までの社会保険料が免除となる制度です。
この度、全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律(令和3 年法律第66 号)の公布にともない、令和4年10月から育児休業等期間中の保険料の免除要件が改正されます。主な改正内容は次の2点です。

・月額保険料の免除:
育児休業等の開始月については、同月の末日が育児休業等期間中である場合に加え、同月中に14日以上育児休業等を取得した場合にも免除されます。

・賞与保険料の免除:
育児休業等を1月超(暦日で計算)取得した場合のみ免除されます。

詳細については下記をご覧ください。

「令和4年10月から育児休業等期間中における社会保険料の免除要件が改正されます」

令和4年10月1日から被用者年金に加入する5人以上使用する個人事業主の業種に弁護士、税理士事務所等も追加

厚生年金保険に加入しなければならない5人以上の個人事業所の業種については、法で定められていますが、今回の改正で弁護士、税理士等の資格を有する者が行う法律又は会計に係る業務を行う事業が追加され、厚生年金保険に加入が義務付けられました。

令和4年10月1日からパート等短時間労働者の被用者年金に加入しなければならない事業所の規模が変わります

現在は501人以上の規模の事業所に短時間労働者お勤めで一定条件を満たした方であれば厚生年金保険等被用者年金に加入しなければならないことになっていますが、今回の改正により101人以上の規模の事業所にお勤めで一定条件を満たした民間にお勤めのパート等短時間労働者の方は被用者年金に加入することになります。

※令和6年10月1日からは厚生年金保険に加入しなければならない事業所の規模が101人以上から51人以上に引下げられます。
また、厚生年金・健康保険の適用対象である国・自治体等で勤務する短時間労働者についても公務員共済の短期給付の適用対象となります。

令和4年5月1日から確定拠出年金に加入可能な年齢が変わります

確定拠出年金に加入可能年齢が企業型では厚生年金保険に加入していれば70歳まで加入が可能となります。(現在は加入可能年齢65歳まで加入が可能)。
また、個人型(iDeCo)の確定拠出年金への加入可能年齢が公的年金の被保険者であれば65歳まで加入が可能となります(現在は60歳まで加入が可能)。

令和4年3月31日付で年金担保貸付制度が終了となります

年金担保貸付制度は、国民年金、厚生年金保険に基づく年金受給権を担保として融資することが法律で唯一認められた制度であり、保健・医療、介護・福祉、住宅改修、冠婚葬祭、生活必需物品の購入などの支出のために一時的に小口の資金が必要な場合に利用できました。
この制度が令和2年6月の法改正により、令和4年3月31日をもって終了となり、年金受給権を担保とした貸付制度が廃止されます。
今後、万一臨時の出費等で一時的に小口の資金が必要な場合は「自立相談支援事業」等、年金担保貸付以外の制度をご利用ください。

■年金担保貸付以外の制度についてお知りになりたい場合は、下記にてご覧ください。

令和4年4月1日から公的年金等の障害年金の「目の障害」の認定基準が改正されます

令和4年4月1日から国民年金、厚生年金保険から支給される障害年金の障害認定基準のうち、「目の障害」について、視力評価や視野障害の認定基準が改正されます。
新しい障害認定基準により、眼の障害で2級または3級の障害年金を受給されている方は、今回の改正によって障害等級が上がり、障害年金の金額が増額となる可能性があります。
今回の改正によって、障害等級が下がることはありません。

確定給付企業年金や厚生年金基金の障害給付金の取扱いについては、加入や受給されている企業年金によって違いますので自分が所属している企業年金に直接お問い合わせをお願いします。

2020年度第3四半期の国の年金資産の運用結果は+6.29%(10兆3,528億円)の収益となりました (厚生労働省)

 令和3年2月5日に厚生労働省より年金積立金管理運用独立行政法人(以下、「GPIF」という。)による国の年金資産の2020度第3四半期の運用状況が公表されました。

 2020年度第3四半期(2020年10月~12月)の国の年金資産の運用状況での収益率は第1、第2四半期に引き続き+6.29%となり10兆3,528億円の収益となりました。

 その結果、2020年6月末現在の年金運用資産額は162兆926億円となりました。

 GPIFによる国の年金資産の詳細については下記の年金積立金管理運用独立法人のホームページでご覧ください。

■2020年度第3四半期運用状況(速報)[PDF:414KB]

■2017年度~2020年度の四半期毎の運用利回り

2017年度
第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期年度
運用利回り3.54%2.97%3.92%-3.49%6.90%
2018年度
第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期年度
運用利回り1.68%3.42%-9.06%6.21%1.52%
2019年度
第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期年度
運用利回り0.16%1.14%4.61%-10.71%-5.20%
2020年度
第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期年度
運用利回り8.30%3.05%6.29%18.49%

■過去の運用資産の構成割合

2019年度末2019年度
第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期
国内債券23.87%26.33%26.61%23.64%
国内株式22.87%24.37%24.06%25.28%
外国債券23.47%21.81%23.46%25.71%
外国株式23.90%27.49%25.88%25.36%
短期資産5.95%
合  計100.00%100.00%100.00%100.00%
※ 上記の数値は四捨五入のため、各数値の合算は必ずしも100%になりません。

※参考:

 10兆3,528億円の収益とは時価に基づく評価損益であり、実際の金融商品の売買により発生した収益ではなく、保有している金融資産を時価評価で換算した際の評価の価額です。

 例えば、2019年度末の年金積立金の運用結果で-8兆2,831億円(収益率換算で-5.20%)の損失が発生したと報じられました。

 しかし、3ケ月後の2020年度第1四半期では12兆4,868億円(収益率換算で8.30%)の収益と発表され、更に9ケ月後の2020年度第3四半期では10兆3,528億円(収益率換算で6.29%)の収益と発表されました。

 その結果、2019年度末(2020年3月末)現在の年金運用資産額は150兆6,332億円であったのが、2020年12月末現在の年金運用資産額は177兆7,030億円と27兆698億円の増加となっております。

 このように四半期毎の損失や収益は実際の金融商品の売買により発生した実際の収益額や損失額ではなく、2020年3月末日現在で持っている金融商品と2020年12月末日現在で持っている金融商品を時価による評価換算で比較をした場合に発生した評価損益の差額であります。

 よく損失が発生した際に一部の報道によっては運用損失により年金資産がなくなり、将来年金が貰えなくなるという記事が見受けられますが、このように、年金積立金の運用状況は長期的に判断する必要があり、単年度や四半期毎の運用状況だけで年金積立資産の実額が減ったり増えたりするという性質のものではありません。

 今回の運用結果においても、10兆3,528億円の年金積立資産の収益が発生したが、この収益は年度途中における評価による収益ですので、将来の年金給付に直接反映するものではありません。

令和3年4月から国より支給される年金額が減額され、国民年金保険料は引上げされます (厚生労働省)

 公的年金の年金額は、物価の変動率に応じて年度ごとに改定されることになっています。

 令和2年度の年金額改定に用いる「名目手取り賃金変動率」はマイナス0.1 %であり、「令和2年平均の全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指数)の対前年比変動率が0.0%でありましたので令和3年度の年金額は新規裁定年金・既裁定年金ともに、名目手取り賃金変動マイナス0.1 %によって改定されます。

 なお、賃金や物価による改定率がマイナスの場合は、マクロ経済スライドによる調整は行わないことになっているため、令和3年度においてはマクロ経済スライドによる調整は行わず未調整のマイナス0.1 %は翌年度以降に繰り越されます。

 また、在職老齢年金の支給調整変更額等については変更がありません。

 国民年金保険料についても、法律に規定された平成16年価格水準の保険料額が17,000円となっていますが、実際の保険料額は物価や賃金の伸びに合わせて調整した結果、今年度の国民年金保険料は令和2年度より70円引き上げされて月額16,610円となります。

 出展:厚生労働省ホームページ 令和3年度の年金額改定について